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このサイトは日本聖書協会発行の
新共同訳聖書から引用しています。
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週報巻頭言
週報巻頭言 : 「礼拝した人」 ルカによる福音書 17 章 11-19 節
投稿者 : iybpc 投稿日時: 2019-07-21 17:14:59 (37 ヒット)
週報巻頭言

「清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。 この外国人のほかに、神を賛美するために戻ってきた者はいないのか。」 (ルカ福音書 17:17-18)
去る 6 月 28 日、「ハンセン病家族訴訟」に対して熊本地裁が国の責任を認めた判決に 対して、被告の政府は控訴を断念した。「断念したのが立派」なのでなく、この熊本地裁 の判決こそが合理的であり「まっとう」なものだったにすぎない。原告らの提訴の主旨 は、「らい予防法」という医学的根拠が無くただ差別と偏見に基づいて実施されてきた悪 法を永年(プロミンという特効薬により劇的に回復する事実が明確になった 1940 年台以 降も延々と)放置してきた国家・政府の「無為」によって、ハンセン病患者のみならず、 その家族も多大な苦悩と社会的排除に見舞われてきた事実を問い、国家としての賠償を 求めたものである。国家という「法制度」(立法府も行政府も含めた法治国家そのもの) が、もし「わたしに責任はない」と開き直ったなら、どのような法律を造っても、また それを放置しても「誰にも責任は無い」ということになるのだから、「国家・政府の責任 を広く認める」という判決は、至極当然のことだと思う。そして、「国の責任」というこ とは、私たち「歴史と社会を構成する者たち全体の責任」ということが明確になったと いうことだ。だから、「控訴断念を決意した」首相が為すべきことは、「異例のことだが 私が温情深い決断をした」と胸を張ることではなく、まずは元患者の家族を、提訴しな ければならないところまで放置してきたことと、原告たちの提訴に対して争う姿勢を見 せてきたこれまでの構えを恥じ、一切の留保なしに謝罪をすべきなのである。かく言う この私も、「社会の残酷」に加担してきた一人として悔い改める他はない。 家族から「その患者」が出たことが知られると一族が村八分の目に遭う。本人は、死 亡したことにされ隔離施設で名前を変えてひっそり生きる。生殖機能を断絶させる手術 を施される。「一般」社会との交流は遮断され、完治しているにもかかわらず社会復帰は 永劫閉ざされている。生まれてきた事を呪われ、人間としての尊厳がすべて奪われ、つ ながりを消される、そこまでの差別を浴びせられてきた人たちが、私たちの歩んできた この歴史・この社会の中に、同時代的にあったことを記憶せねばならない。そして、彼 ら彼女らの、また家族らの「回復/恢復」の課題は、日本社会の「人間性」の恢復への問 いかけなのだということを心に刻みたい。 吉 叶


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